マッチングアプリ市場に、新たな潮流が生まれている。
それが、ディナーシェアアプリと呼ばれる、食事をきっかけとした出会い・交流に特化したマッチングアプリの登場だ。
これまでのマッチングアプリは、プロフィール閲覧やスワイプ、メッセージのやり取りを重ねた先に「会う」ことが前提だった。しかしディナーシェアアプリは、その順番を大きく入れ替えている。
最初から「一緒に食事をする」ことがゴールとして設定されている点が、最大の特徴だ。
ディナーシェアアプリとは何か
ディナーシェアアプリでは、まずアプリ上で
・一緒に食事をする相手
・食事をする日時
・エリアや店のジャンル
といった条件を設定する。
その後、アルゴリズムによって選ばれた3〜6人程度の少人数グループで、実際に食事をするという流れになる。
個別のマッチングや、長いやり取りは前提とされておらず、
「当日、食事の場に参加すること」そのものが体験の中心だ。
メッセージより“リアル”を重視する設計
ディナーシェアアプリの設計思想は、従来のマッチングアプリとは明確に異なる。
マッチング後のメッセージを重ねて関係性を築くのではなく、リアルな場での空気感や会話を通じて関係を判断することを重視している。
そのため、
・メッセージが苦手
・文章では人柄が伝わりにくい
・会ってみないと分からない
と感じていた層にとって、非常に相性の良い仕組みとなっている。
恋愛目的でなくても参加できる理由
ディナーシェアアプリのもう一つの特徴は、必ずしも恋愛目的でなくても参加できる点だ。
「美味しいものを誰かと食べたい」「新しい人と話したい」「人脈を広げたい」といった、ライトな動機でも成立する。
これは、
・恋愛を前面に出すことへの心理的ハードル
・マッチングアプリ疲れ
・出会いに対する慎重さ
といった、現代的な感情にフィットしている。
草分け的存在「Timeleft(タイムレフト)」
このジャンルの草分け的存在として知られているのが、2024年にサービスを開始した「Timeleft(タイムレフト)」だ。
Timeleftは、ランダム性と食事体験を組み合わせた設計で、
「誰と会うか」よりも「どんな時間を過ごすか」に価値を置いている。
マッチングアプリというより、体験型コミュニティに近い感覚で利用されている点が特徴だ。
2025年に続々と登場する新サービス
2025年に入ると、ディナーシェアアプリは一気に増加する。
代表的なものとしては、
- IRORI(イロリ)
- コンパる
- gocon(ゴコン)
などが挙げられる。
これらのサービスは、それぞれ
・ターゲット年齢
・雰囲気
・食事スタイル
に違いを持たせながら、ディナーシェアという共通フォーマットを展開している。
なぜ今、食事を軸にした出会いなのか
このトレンドが生まれている背景には、いくつかの要因がある。
一つは、マッチング疲れの顕在化だ。
スワイプ、マッチ、メッセージ、既読スルー……。こうしたプロセスに疲れ、「最初から会った方が早い」と感じる人が増えている。
もう一つは、リアル体験の価値の再評価だ。
コロナ禍を経て、「同じ空間で食事をする」「偶然の会話が生まれる」といった体験の価値が、改めて見直されている。
グループ形式がもたらす安心感
ディナーシェアアプリの多くが、1対1ではなく少人数グループ形式を採用している点も重要だ。
これにより、
・初対面の緊張が和らぐ
・会話が途切れにくい
・一人に責任が集中しない
といった心理的メリットが生まれる。
特に、初対面の1対1に不安を感じやすい層にとって、グループでの食事は参加しやすい設計だ。
マッチングアプリ市場の新しい補助線
ディナーシェアアプリは、従来型マッチングアプリを否定するものではない。
むしろ、
・恋愛前の関係性づくり
・出会いの入口
・人との接点を増やす場
として、市場を横に広げる役割を担っている。
出会い方が一つである必要はなく、目的や気分に応じて使い分ける時代になっている。
食事という「失敗しにくい体験」
食事は、出会いの中でも失敗しにくい体験だ。
仮に相性が合わなかったとしても、「美味しいものを食べた」という価値は残る。
この“損をしにくい設計”も、ディナーシェアアプリが支持される理由の一つだろう。
出会いの形が細分化する時代に
ディナーシェアアプリの登場は、マッチングアプリ市場がより目的別・体験別に細分化していることを象徴している。
恋愛、友達、交流、体験——それぞれに最適化された出会い方が求められる時代だ。
食事×出会いをさらに進化させるサービス
食事を軸にした出会いの価値が高まる中で、合コンという形式を現代的にアップデートした合コンマッチングアプリ「コンパイキタイ」は、ディナーシェアアプリとは異なる角度から、このトレンドを捉えている。
「食事」「複数人」「安心感」という共通点を持ちながら、より恋愛や人間関係の発展を意識した設計が、今後の出会いの選択肢として存在感を高めていくだろう。








